いつだって余地を残して

今、私の右手には封筒が握られている。中には、五千円札が1枚と千円札が3枚入っている。

私は何だって買える。このお金で何だって買える。あの子の持っている高そうな靴も、可愛い顔も、洋服も、車も家も、何だって。

何だって買えるけど、もし欲しいものすべてを手に入れたら、私はもう何も買えない。10万持っていたって、100万持っていたって、1億持っていたって、何も買えない。

満たされない状態であるということ。すこし自分の中にスペースをつくっておくということ。私はこのお金で何だって買えるけど、すべてを買わないでおくということ。